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6:香合と香の話
茶席では炭点前を行った場合必ず、香を焚く。 香合(こうごう)とは、その時に使う香(練り香や香木)を入れる小さな入れ物である。 それは本当に小さな器物であるが、茶席においては拝見を請われるほどの重要な位置にある。 見立ても多いが、それなりの鑑賞に堪えるものでなければならない。

大きく分けてその素材は、漆器や木地・竹などと焼き物(陶磁器)に分けられる。 これはそのまま、風炉の時期に使うものと炉の時期に使うものという分け方ができる。 すなわち、風炉の時期は漆器類、炉の時期は陶磁器類を使う約束になっている。

そして又、香も木物(きもの)という香木の切片と、練り香という木物の粉や動物性の香を蜜で練ったものの二種類に分けられる。 これも、風炉の時期に焚く香は木物(香木)、炉の時は練り香を用いるという約束事がある。 (漆器や生地の香合には水分のある練り香は使わない、と覚えておくと良い。)

簡潔に整理すると、漆器や木地の香合は風炉用として香木を入れて用い、陶磁器類の香合は炉用として練り香を入れて用いられる決まりなのだ。

だから香合を揃えるときは、いくら気に入ったものでもその約束に当てはまるように揃えなければならない。風炉の時期には決して陶磁器の香合は使わない。 希なことではあるが、どうしても風炉用の香合を炉の時期に使いたいときは、椿の葉っぱを切ってそれを敷いて練り香を載せる。

また両方に使えるものとして、貝合わせの香合(蛤)、金属製、象牙製などがある。 これを炉用で用いるときも椿の葉っぱに練り香を載せて使用する。

さて、なぜ、風炉の時期に木物(香木)で、炉の時期に練り香という決まりになったのか。確かな理由はわからないが、もともと、香を焚くという行為は、香木を焚くのが本式(真)であった。 練り香を焚くというものは江戸時代に入ってからのようである。 つまり書院台子の茶(この茶は風炉を用いる)で香を焚くと言えば、香木を焚くことだったのである。そしてその入れ物は、漆器などの小蓋物が使われていた。(たとえば堆朱とか)
 翻って考えるに、炉というのは利休が草庵の茶を大成する間に生み出した侘びの産物である。 その炉で真の香を焚くのはどうみてもそぐわないではないか。 ということで風炉は真の香、炉は草(と言い切って良いかは疑問だが)の香として練り香をもちいるようになったのではないだろうか。 これは定説ではなく、あくまでも私見である。

ちなみに香木の種類は六国(りっこく)といって、その産した場所の名を取って六種類に分けられる。 伽羅(きゃら)・羅国(らこく)・真南賀(まなか)・真南蛮(まなばん)・寸門多羅(すもんだら)・佐曾羅(さそら)の六種類である。
 次に形もの香合と言うものについて少し触れてみたい。

陶磁器の香合は数限りなくある。 これを相撲番付のように東西に分けて格付けした物が形もの香合である。 東は交趾と青磁が主で、西は呉須・染付・祥瑞が主となっている。 つまり唐物がその全てであり、和物は入っていないことに注意すべきである。

ちなみにその番付を少し紹介してみる。 東は、「大関・色絵交趾大亀」を筆頭に、「関脇・色絵交趾臺牛」「小結・惣黄交趾桃」「前頭・惣黄交趾花喰鳥」「同・惣黄交趾鹿」「同・惣黄交趾菊蟹」「同・惣黄交趾分銅亀」「同・色絵交趾中亀」「同・色絵交趾狸」「同・黄交趾小判蟹」

西は、「大関・染付辻堂」を筆頭に「関脇・呉須菊蟹」「小結・青磁桔梗」「前頭・青磁桃「同・染付はは鳥」「同・染付荘子」「同・染付引捨牛」「同・染付桔梗」「同・宋胡禄柿」など。 東西あわせて200近い香合が記載されている。 |