皆具【かいぐ】
水指・建水・蓋置き・杓立てが同じ窯で、同じ文様で焼かれてセットにされているものを言う。 台子や長板のお点前の時に使用される。 杓立てには柄杓と火箸が荘られる。 これらの道具に風炉や釜を含めて皆具と言うときもある。 また材質はほとんど焼物だが、そうでないときもある。 唐銅の皆具などは真の皆具と言われ、最上級のお点前に使用される。
懐紙【かいし】
和歌などをしたためる為の紙を指す。 ただし茶の湯では、懐中に入れておく紙の束を言う場合がほとんど。 今で言ういわゆるティッシュペーパーである。 茶席で菓子をとる皿代わりにしたり、道具や懐石碗の汚れを軽く拭きとるためなどに使われる。 透かしや模様が入っているものもある。 男女で大きさが違い、男子用が若干大きい。 因みに、懐石のお椀や盃などの漆塗りのものを清めるときは、いくら紙とは言え、ふき取るときに傷が付いてしまう。 これを避けるために、ふき取らずに軽く上から押さえる程度にとどめるべきである。
懐石【かいせき】
もとは禅宗からきた言葉である。修行中の空腹を和らげるために暖めた石を懐中したことが語源と言われている。禅宗では温石(おんじゃく)とも呼ばれる。 それが転じて、茶の湯では、一時の腹ふさぎの料理という意味で茶席で饗する食事を指す。 その目的はあくまでも茶がおいしく飲めるためのものでなければならない。 季節の素材を活かすことが大切。 茶の湯の懐石では、フランス料理のフルコース以上に厳しい作法や順序が決められている。
花押【かおう】
日本古来からあるサイン。 文書や証書などの最後に自分の名前を署名して、そのわきに花押を書く。 いわば印鑑の代わりである。 字を崩したものや図案化したものまで様々なものがある。 いい加減に書いているようにみえるが、武家花押、出家花押、など、ある程度の様式がある。
書付【かきつけ】
道具の一種の鑑定書。 箱に書いてあるものは箱書きという。 例えば、家元がこの道具は良い道具だから大事にしなさいと書付(箱書き)をしたものなどは珍重される。値段も、この書付があるものとないものでは全く同じ道具でもかなりの違いが出る。 道具は書付(箱書き)がものを言う世界である。 また、古い道具を誰それの作に間違いない、と書いてあるものもある。これは極め書きとも言う。
菓子器【かしき】
お客さんに饗するお菓子を盛りつける器。大きく分けて主菓子用と干菓子用に分けられる。主菓子は濃い茶席の前に出されるもので、正式には縁高という菓子器に一人分ずつ入れられて、黒文字が添えて出される。 蛇足ながら、この黒文字は持ち帰るのだが、茶席に招かれて唯一持って帰れるのはこの黒文字だけである。これに招かれた日を記して保存している人もいる。その他、主菓子用には陶磁器なども用いられる。要は菓子とのバランス。 干菓子器もいろいろな素材があるが、比較的平たいものが多い。 薄茶の席に遊び心を持ち込むには打ってつけの道具と言える。
刀掛け【かたなかけ】
茶室の入口に設けられた刀を掛ける為の棚。 茶室の入口は躙り口が一般的で身分の高い武士といえども身を低くして入らなければならないような工夫がなされていた。その際に、邪魔な刀を外し掛けておく場所としてしつらえてある。 この下には刀掛け石を置くのが通常である。
勝手付【かってつき】
点前をする位置に座って居前よりおよそ45°壁側(客と反対側)を指す。風炉と炉では居前自体が違うために勝手付の位置も違う。炉の場合は水指は勝手付の位置にあるので、最初と最後はこの位置を向くが、風炉の場合は建水を持って下がるときだけ勝手付を向くことになる。
釜【かま】
湯を沸かす容器。風炉や炉で五徳の上に載せる。茶席の道具では重要な位置を占め、その制作方法は、通常は鋳物である。一般的にまず上の部分と下の部分を分けて土で鋳型を作る。次に釜の厚さ分だけスケールダウンした鋳型を中に納めて、上下の鋳型を接合する。釜の尻になる部分(湯口という)から溶かした鉄を流し込んで鋳造する。古来からの何種類かの形に分類され、見所も決められている。古くからの名品が今も数多く残っている。古くは芦屋、天命などの産地のものに名品が多い。
紙釜敷【かみかましき】
初炭点前で、釜を風炉や炉から上げて畳に置くときの敷物。 材質や枚数は流儀によってそれぞれ違いがあるが、檀紙や鳥の子紙、美濃紙などを30枚前後重ねて四つ折りしたもの。 炭点前を略す場合は、これに香合を載せて床に荘っておく。
客付【きゃくつき】
点前をする座の居前よりおよそ45°客側の位置。風炉と炉によって位置が違う。拝見の道具を出したり貴人にお茶を出すときに向く。
唐物【からもの】
唐の国で産したものを指す。いわゆる今で言う舶来もの。茶の文化が唐から入ってきたように、当時の流行の最先端は、唐(中国)の文化であった。故に、茶の湯道具では唐物は国産とは一線を画し常に上位として扱われる。たとえば、茶入などはその例が多く、唐物と和物ではお点前も違ってくる。
官休庵【かんきゅうあん】
武者小路千家を代表する茶室である。また武者小路千家そのものを指す場合もある。一畳台目向こう切りで、点前の畳と客の畳の間に五寸の半板が入れてあるのが特長。これにより一畳台目でありながら広さを感じさせる工夫がしてある。一翁宗守が官職を辞したときに建設された。
貴人畳【きにんだたみ】
正式には四畳半の茶室の床前の畳を指す。ただし、広間は四畳半を基本としているので、広間にも貴人畳は存在する。貴人とは、高貴な人、いわゆるやんごとなき人々のことである。こういう人が客で来た場合だけ座る畳で普段はこれを避けて正客が座る。このほかに貴人口といって、躙り口とは別に身をかがめなくても入れる普通の入口を設けている茶室もある。また、貴人点てと言って、貴人専用のお点前方法もある。
京間畳【きょうまだたみ】
畳の大きさの規格の一つ。茶室の畳もこの京間畳の規格を使う。長辺が六尺三寸、短辺が三尺一寸五分。茶の湯道具(棚や板など)はこの寸法を基準に作る出されているものが多い。これに対し江戸間の畳の寸法があるが、これは京間畳より寸法が短い。京間は柱と柱の間、江戸間は柱の芯と芯の間を基準とする寸法の取り方をするという工法の違いからである。
裂地【きれじ】
古来から伝わる布のこと。中でも重厚なものを名物裂ともいう。金襴や銀欄、緞子などの重厚な布地が多い。名物の茶器を包む袋や軸などの表装、古帛紗などに使われる。古来よりの名物の茶器にはどういう裂地の袋が添うているかまで約束として決められている。
金毛閣【きんもうかく】
大徳寺の山門。もともと一休が大徳寺の再建に努めた頃に宗長という連歌師の寄進により一階建ての山門が建立された。そこへ利休が2階部分の楼閣を重ね寄進して金毛閣と名付けられた。ここへ利休の像を安置したことが秀吉の怒りを買い利休は切腹に至らされたという話は有名であるが、真偽は定かではない。
金輪寺【きんりんじ】
茶入れの一種。ツタの枝をくりぬいたもの。もともとは濃茶入れであったが、現在は薄茶器として用いる。醍醐天皇が吉野の金輪寺にて、その蔦の古株を用いて茶器に作ったとされる。しかし、現在の研究では、もともと経筒として作られた物を茶器に見立てたということがわかっている。現在使われているものは本歌より小振りで茶器として使いやすいように変化してきている。