「新潟・木曽がむしゃら釣行記」の巻 その2


釣行日:2000年6月1日(木)
天気:雨時々曇り
水温:13度




「なんてこった」

林道を車止めまで走り、その広場に車を止める。先行者はいない。はるか下の谷底からかすかに沢の音が聞こえる。もうすでに11時だというのに雨はまだ小降り。いつになったら止むのだろう。


行く手を遮るスノーブリッジ

再び支度を整えて出発。 しばらくはわずかに斜面に残る踏み跡をたどり、幅1mほどのちいさな枝沢を渡って本流の沢へたどり着く。ここも雨のせいか若干の濁りが入っているが、それでも毛鈎が無効になるほどの濁りではない。ここで、小松さんと石原さんは下流へ向かい、私とShingoさんは上流を目指して更に遡行を開始。途中には大きなスノーブリッジが残っている。やはり今年の雪解けは遅いようだ。30分ほど沢を遡ると流れは二股になっていた。この左の沢が本命だそうである。

左の沢へ入ったところで大休止。おにぎりをとりだしてパクつく。細かい雨が降っている。二個目のおにぎりを取り出したそのとき、ふと流れに目をやると、心なしか濁りが強くなってきていた。そしてそのおにぎりを食べ終わる頃にはもう真っ茶色な濁りと化していた。

がーん。 なんていうことか。ここまで苦労して歩いてきて、さぁこれからと言うときに濁りが入ってくるなんて。


川には見る間に濁りが入っていく


こうなりゃ意地だ!私はむきになってハリスに毛鈎を結び竿を振った。

でも.... あぁ.... むなしい。

水色は徐々に真っ茶色になり流れの底が見えなくなってきている。水量は増えてはいないがこれはあぶない。川を渡るときに底が見えないのは非常に危険なことだ。私はほとんど振っていない竿をたたまざるを得なかった。

合流の所まで下ってきたところで、諦めきれない私はまだ比較的水の綺麗な右の沢に入ってみた。Shingoさんは竿をたたんで諦め顔でついてくる。でも、ダメだった。しばらく釣り上ってみたものの反応が全然ない。

ついに我々は、「あきらめるしかない」というこの現実を渋々ながら認めるしかなかった。

沢を下る途中、下流から釣り登ってきた小松さんと石原さんに逢う。この二人は元気だ。この川がダメならもう一つ別の川に行くという。しかし、完全に打ちひしがれ釣欲をなくしている私とShingoさんにその元気はなかった。われわれはここで先に納竿させてもらうことを挨拶して再び沢を下りはじめた。

「メイクミラクルは再来するか」

「ここだけ最後にやってみますか」Shingoさんがさきほど沢に降りるときに渡った幅1mほどの小沢を指さす。

どうしようかと思ったが、どうせここまで来たら「ダメもと」そんなヤケクソ気分で「OK。じゃ、ま、メイクミラクルっていう奴をみせてやりましょうか」と軽口を叩きながら毛鈎を細い流れに落とした。とうぜん反応などない。(^^;

でも、どこか期待が持てる小沢である。居そうもない小さな流れからイワナを引っぱり出す、それを無上の喜びとする私にとってはこれくらいの小沢がたまらなく好きである。ワクワクする気持ちを抑えながらポイントになりそうなところを一つ二つとつぶしていく。

小沢だけあって藪が多くどうもテンカラが振りにくい。あそこが絶好にして最後のポイントになりそうだ。毛鈎を落とす。

浅い流れの岩の陰から黒い陰が走り、ドライにピチャンとアタックした。きたっ! あまりの嬉しさに、思わず大アワセになってしまった私。おかげで水面から引き抜かれたイワナは大きく弧を描き私の背後まで飛ばされるハメに。(ごめん)

手に取ってみると小振りながら新潟のイワナである。ん〜、ついにメイクミラクルかぁ。(んな大層な〜)^^;

「新潟の総括」

Shingoさんの車に戻り雨に濡れた服を着替え、一旦Shingoさん宅まで退却。昨夜寝ていない分、Shingoさんの車の助手席で気持ちよく爆睡。Shingoさんのお宅でコーヒーを飲み眠気を覚ましてから、私は再出発の準備を整えた。荷物をまとめ濡れたものをハンガーに吊していくと、青河馬号の車内はまるで洗濯物の干場に化してしまってた。

今回は図らずも悪天候に阻まれて、釣果としては物足りない結果とはなってしまったけど、あの状況からすればこれでもおおいに誉めてもらいたい釣果である。特にこのヘッポコな私の腕前にしては満足のいく釣行であった。

それよりも、5つもの川を巡ってくれたShingoさんのそのご苦労には頭が下がる。この恩義は必ずやどこかで返さなければ。そんな思いを胸に、私は、再び青河馬号にまたがり一鞭、新潟を後にすることとなった。6月1日午後3時半のことである。

「まってろよ〜、今行くぞ」

新潟を発つときにちぇるぃさんのiモードへメールを送っておいた。

その返事は速攻で返ってきた。相変わらずちぇるぃさんは携帯のタイピングがムチャクチャ早い男だ。たぶんその辺のコギャルなどは足下にも及ばないだろう。

その返事によると、長野は新潟とは違いお天気が良いらしい。よし、よし。そうこなくっちゃ。

青河馬号は新潟西ICから北陸道に入る。

この先にはどんな出会いが待っているんだろうか。

そんな期待を胸に青河馬号のアクセルを踏み込む私だった。

「目次」へ戻る    「その1」へ戻る    「その3」へ続く

郁楓庵へのご意見・ご感想はこちらへ 連絡帳    



一つ前のページに戻る


homepageHOME PAGEへ

制作・著作 ikufu ikeda