2:<毛バリ>(マテリアル編)


1:キーワードはドライ

初心者がテンカラを楽しむにはドライフライが一番であると言うのは前章で述べたとおりである。

あの流れていく毛バリを息をひそめじっと見つめる。 よしここで出るぞ!と思った瞬間にバシャと岩魚が出てくる。 この快感。 これに勝るものはないだろう。 竿を持つ手が無意識に反応し、手首がパッと反転して岩魚の出にあわせる。 竿を通して手に魚の重みが伝わってくる。 満足の一瞬である。

そして、このシーンはドライフライならではのものだろう。

私は一種類のドライフライしか使わない。サイズも一種類である。(このへんにまだテンカラ師としてのこだわりが....)(^^;

その毛バリはエルクヘアカディス。サイズはフライフィッシングのフックサイズでいえば12番。

これはテンカラの伝承毛バリではなく、ご存じのようにトビケラなどの成虫を模したフライフィッシングの毛バリである。

実は日本の川にはトビケラの種類が数多く存在しており、つねにどの種かの成虫が飛んでいるという。 だから日本の魚たちはこれがご馳走だと言うことをインプリンティングされていると言っても過言ではない。

エルクヘアカディスはそれほどに日本のフィールドにぴったりの毛バリなのである。

2:エルクヘア・P・カディス

私は、このエルクヘアカディスを自分なりにカスタマイズしてタイイングしている。

そのコンセプトはあくまでもポッカリと浮いて目立つこと。そのためにエルクヘアは通常より多少多めに、そして長めに取り付ける。そして飛ばす前にエルクヘアを思いっきりフレアさせる。水面から飛び立とうと羽をバタつかせているシーンを再現すると共に、釣り人の目からも完全に目視できるようにするためである。

この毛バリを私はエルクヘア・P・カディスと呼んでいる。Pとは私のパソ通でのハンドルPLA(プラ)のPであり「ポッカリ」のPである。(結構いい加減^^;)

私と一緒に釣行した人のほとんどはその視認性の良さに驚くのだが、実は釣果はこの視認性に比例する。

普通のエルクヘアカディスや水を吸って沈み気味になったエルクヘアカディスを何回流しても出てこなかった魚が、水分を完全に取りエルクヘアの部分を思いっきりフレアさせてポッカリと浮かべたPカディスを流すと一発で喰ってくるのだ。 これは是非一度試してもらえれば、わかってもらえると思う。

つまり釣果より人間の視認性を優先させたポッカリと浮くエルクヘアカディスが(偶然かどうか)魚の反応も抜群の毛バリだったのである。

ただし、これが他の毛バリにも言えることなのかどうかは不明だが。

3:タイイングの準備

では、このエルクヘア・P・カディス(以下Pカディス)のタイイングの仕方について手順を説明していこう。

ここをお読みになっているかたがビギナーであることを前提に話を進めるので、ある程度知識のある人にはまどろっこしい部分もあるかとは思うがお許し戴きたい。

まず、道具とマテリアル。


  • 釣り針
    アイ(ハリスを結ぶ穴)が付いているもの。 私はオーナーの桑原テンカラ4号(たまに3号)を使用しているが、別にフライフィッシング用でもよい。 ただしシャンクは長すぎず短すぎないものを選ぶこと。

  • バイス
    ハリを挟む器具である。フライフィッシング用に何万円もするものがあるが、そんな高価なものは必要ない。 ちなみに私のものは3000円しない。



  • スレッド
    フック(針)にマテリアルを縛りつけるための糸。通常の裁縫用の糸でも代用できる。 色や太さなど各種あるが、テンカラではほとんどこだわらない。 Pカディスでは黒を使用。

  • ボビンホルダー
    スレッドをセットしてフックに糸を巻き付けやすくするもの。 フックに巻き付けていると先端の穴でスレッドが擦られて切れやすいので、先端は出来るだけ面取りしてあったりセラミックのものなどがよい。

  • ウイップフィニッシャー
    毛バリを巻くときに使ったスレッドを最後に巻き止めるときに使用する。 ウイップという結び方をするのに便利だがビギナーには難しい。 簡単なハーフヒッチという結び方をすることもできるのでこのために使用する。

  • ハックルプライヤー ハックル(後述)を挟んでフックに巻き付けるものであるが、短いハックルでない限り、それほど必要ない

  • ヘッドセメント
    巻き上げた毛バリは最後にスレッドをハーフヒッチで止めるが、ここがほどけてこないようにするための一種の接着剤。

  • スタッカー
    エルクヘアなどの毛先を揃えるのに使用。 容器に切り取った毛を入れ、机などにトントンと打ち付けて毛先を揃えるというなんとも原始的な使い方の道具。

  • 小型ハサミ  女性が眉毛などを切りそろえるときに使う小型で先端が細いハサミで充分。

  • まち針 毛バリの形を整えたり、アイがヘッドセメントで詰まったときなどに使用する。
    エルクヘア・P・カディス用マテリアル編


  • ハックル
    毛バリはハックルが命である。 極端に言えばハックルさえ巻いてあれば魚は反応するという説まである。
    ネックハックル、サドルハックルなどがあり、グレードも各種あり、値段も一万円以上と高価。Pカディスではオリーブドグリズリーを使用する。

  • ボディダビング材
    毛バリのボディを作るもの。テンカラの伝承毛バリではゼンマイの綿毛を使うが、フライフィッシング用にファーや化学繊維が準備されている。化学繊維にはドライ用、ウエット用があるがテンカラでは特に気にしない。Pカディスでは黒を使用。

  • ピーコックハール
    クジャクの尾羽の部分。光の加減によって金色や緑色に光り輝く。 Pカディスではボディに巻き付ける。

  • エルクヘア
    エルク(鹿)の毛。 カディス(トビケラ)の羽の部分を作る。 ナチュラルな色は灰褐色〜褐色であるが、Pカディスではブリーチのもの(白く脱色したもの)を使用する。



郁楓庵へのご意見・ご感想はこちらへ 連絡帳    

「目次」  1:「概説」  2:「毛バリ」(マテリアル編)  3:「毛バリ」(タイイング編)
4:「実際の方法」  5:「素直な疑問」  6:「きみ悩みたまふこと勿れ」




homepageHOME PAGEへ

制作・著作 ikufu ikeda