4:タイイングの実際

ではエルクヘア・P・カディスのタイイングの実際を説明していこう。


- 針をバイスに挟み固定する。 きちんと固定しないとスレッドをきつく引っ張ったときなどにずれてしまう。 指ではじいてみてピンピンという金属的な音がすればきちんと挟まれている証拠である。

- スレッドで下巻きをする。 アイのほうからカーブしている方(ゲーブ)へ向かって巻いていく。


- ハックル(オリーブドグリズリー)の根元を3ミリくらいファイバーをむしり取り、軸だけにした部分をスレッドでフックに巻き付けてゲーブの直前で固定する。スレッドはそのままアイの方へ巻きながら戻しておく。


- ボディダビング材(黒)を適量取り、紡錘状にまるめてシャンクに乗せ、スレッドで堅く止める。できるだけ水を吸わないようにするために堅く締める。形は不細工でも充分である。
通常は、スレッドに滑り止めのワックスを塗ってそこへダビング材をよりつけるのだが、面倒なので伝承毛バリでゼンマイの綿毛をボディ材に使うときと同じくシャンクにそのまま縛りつける方法をとる。スレッドはもう一度アイの方へ巻きながら戻す。

- ピーコックハールをアイの部分で止めてからボディの上にピーコックを巻いていく。この際ピーコックハールの根元の固い部分は切り取ってからつかうこと。 ボディが太く見えるように2往復くらいにたっぷりと巻いて良い。 ピーコックハールはちょっと力を入れて引っ張るとすぐ切れてしまうので注意を要する。 心配な場合は2本一緒にして巻いても良い。 最後にアイの方へ戻してスレッドで上から押さえるように巻いて止める。 余分な部分はハサミで切り取る。 間違ってスレッドまで切らないように。


- ゲーブのハックルをボディに巻き付けながらアイの方へ持ってくる。ハックルの間隔は適当に。(2〜3mmくらい)アイの部分3ミリほど手前でハックルをスレッドで止める。 余分なハックルを切り取る。


- エルクヘアを適量切りとり、まず柔らかい毛や短い毛を丹念に取り除く。 この部分はきちんととらないと、うまくフレアしないし水を吸いやすい。 スタッカーへ入れて先端を揃える。 切り取る量は通常のエルクヘアに使っている量の1.5倍ほど。


- 揃えたエルクヘアをスレッドで固定する。 エルクヘアでつくるウイングの長さのバランスは本などではシャンクの長さくらい、というふうに説明されているが、Pカディスの場合はシャンクより3〜5mmほど長くするのがコツ。
フレアするようにスレッドを5〜6回巻き付けたら、余分なエルクヘアを切りそろえる。


- 再度3〜4回スレッドを堅く巻いてウイング部がずれないようにする。 このときスレッドを強く引くと切れてしまう。力の加減を考えて引っ張ること。 切れた場合は慌てず、最初にフックに巻き付けたときと同じく巻き付ける。

- ウイップフィニッシャー、あるいはハーフヒッチャーでハーフヒッチを3回ほどかける。 フィニッシャーは使い方が難しい。 ボールペンなどの芯を抜いたものなどがハーフヒッチャーの代わりとして使える。

- ヘッドセメントをほんの1滴、千枚通しか針などでヘッド(スレッドでエルクヘアを巻いたところ)につけてからスレッドを切りとる。
ヘッドセメントを付けすぎると、アイにヘッドセメントが入りハリスが通らなくなってしまうので、まち針などをアイに差し込んで穴を確認しておくと良い。

- Pカディスの下側のハックルを逆V字型に切り取る。 これは大事な作業である。 カディスは時としてウイング部(エルクヘアの方)を下にして逆さまになってしまうことがある。これでは魚は反応しない。 これを防ぎ、姿勢が常に正しくなるように(針の先端が常に水中にあるように)するためである。

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以上でPカディスの完成である。
エルクヘア・P・カディスは黒いボディとピーコックハール、それにオリーブドグリズリーのハックル、ブリーチしたエルクヘアの組み合わせが定番である。これは岩魚にとって最高の組み合わせである。

これさえあれば、ほかには何もいらないと言っても過言ではない。 是非この毛バリに挑戦していただきたい。
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