5:<素直な疑問>


このページで紹介している毛バリを、「実際に作ってみた」という方も大勢おられることと思います。 そんなある方から質問を受けました。  それは「この毛バリ大きくない?」というもの。

実に単純明快であり素朴な疑問です。しかし逆に言えば、素朴であるからこそ同じ疑問を持っておられる方も大勢おられるのではないでしょうか。

そんな思いから、その問答について以下の通りご紹介致しますので、皆さんの疑問解決の一助になれば幸いです。

質問を寄せてくれたのは神奈川県のTAKAHAJさんです。(どうもありがとう!)

TAKAHAJさんの愉快なHPはこちら → http://www.j-webtv.ne.jp/~takahaj/


はじめまして、最近テンカラをはじめました。

さて、本題ですが自分もわからないながらP・カディスを作ってみて取りあえずキャスティングの練習の為フライをやっている知人と管理釣り場(止水ですが…)で行ってきました。

で、友人が私の巻いたP・カディスもどきをみて、「それ大きすぎるよ。」と言われました。
その友人が持っているエルクヘアカディスと比べると全然大きさが(エルクヘアの部分)違っていました。私の巻いたやつだエルクが抵抗になってうまく飛ばないです。
おそらく自分はエルクの量がわかっていないと思うのですが、どのくらいがベストなのでしょうか。少なくするにしても加減が全然わからないもので…。

後、風のある日のキャスティングなのですが、何かコツ等御座いましたらご教授願えませんでしょうか。

質問ばかりして申し訳御座いませんが宜しくお願いいたします。

                                          TAKAHAJ


回答

TAKAHAJさんこんにちは。

メールをありがとうございます。 テンカラは楽しいですよね。

さて、毛バリが大きいと言われましたか。 アハハ。 確かにそうですね。 FF(フライフィッシング)の人があの毛バリを見たら必ず言うでしょうね。

私のつたない経験と知識から考えるに、これはFFとテンカラとの毛バリ(釣り方)に対する意識の違いから来ているのでは、と思います。

FFではマッチ・ザ・ハッチという言葉があるほど毛バリにこだわりますね。そのとき、そのシーンで魚が捕食している虫を割り出して毛バリをチョイスしますし、同じ毛バリでも喰わないときはどんどん毛バリのサイズを落としていきます。しまいには#30とか、気が遠くなるようなサイズまで使いますもんね。

対してテンカラは大きさや形にそれほどこだわりません。極端にいえば、単にハックルだけをクルクルッと巻いただけでも釣れる、という意見を持っている人もいるくらいです。(というか、私を含めてテンカラ師にはそういう考えの人が多いのは事実です)

ということで、FFをやる人は毛バリの大きさに敏感ですし、「大きい毛バリは喰わない・・・・」と言う先入観を持っている人も結構多いのではないでしょうか。(あくまでも総論としてですが)

ですから、質問の中にある「毛バリが大きい」という指摘は、そういうところから出た言葉なんでしょうね。

もう一つの違いは、(これもまた総論としてですが)FFではライズがあったり、わずかでも反応があったり、大場所だったりすると、そこにいる魚を、手を変え毛バリを替え、あらゆるテクニックを駆使しながらその魚を釣り上げることに力を注ぎます。これは「釣り」が釣り人と魚との「ゲーム」として発展してきた為でしょう。細かいところまで戦略性に富んでいます。

一方、テンカラでは、4〜5回流して反応がなければ、次々とポイントを移動していく釣り方をします。 通常、毛バリを変えてまで粘るということはありません。(えー、私、ごくたまにあります... アハハ)

また、テンカラの場合、(フックサイズはPカディスに限らず)FFと較べると総じて大きめです。

こういったテンポの早さや、おおざっぱな毛バリ、大きめのフックというものは、FFの「ゲーム」「タクティクス」と言う要素より、釣果の数を求めた「職漁師の釣り」の名残ではないかと思っています。

いずれにしてもTAKAHAJさんが、あのページに書いてあるとおりに作ったのであれば、その大きさで大丈夫です。大きすぎると言うことはありません。それで必ず釣れます。実際私があの毛バリだけで年間相当数の釣果を上げているのですから、自信を持って断言できます。

いちばん良いのは山形で一回やってみることですね。魚影の濃さが違います。いつでもおいでください。

とにかく、釣果が伸びるかどうかは個々人の「信念」にかかっています。(おお、ついにアヤシイ精神論を持ち出してきたぞ ^^;)

どんなシーンにおいても「この毛バリで必ず釣れる」という信念をもつことが大事です。 不思議なもので、そう思うと釣れますし、逆に疑心暗鬼になると、途端に釣れなくなりますよね。集中力が薄れて、アプローチから振り込みまでが雑になるからだろうと思います。そういった意味でも、つねに自分の毛バリに自信を持って、釣りに臨む姿勢が大切なことです。

あと、空気抵抗で飛ばない、というご指摘ですが、振り込みに慣れないうちは確かにそれはあります。でも、ラインの飛ばし方に慣れてくればちゃんと飛びますのでご安心を。実際には、あれよりもっと大きな毛バリを飛ばしている人も居ますからね。 逆に言えば、あれがうまく飛ばせるようになれば、他のどんな毛バリでも飛ばせるようになるということです。(ちょっと強引^^;;)

エルクヘアの量は、おおざっぱに言うと、FFをやる人に見せて「ちょっと多いんじゃないの」と言うくらいが目安です。しかしそれはあくまでも目安ですから、多少減らしても毛バリが見やすければ、減らしてかまいません。

誤解の無いように申し上げますと、あのページで紹介している毛バリのコンセプトは、あくまでもテンカラをやっている方で、しかも、なかなかウエットの毛バリが見えなくて困っている人でも楽にテンカラが楽しめることを目標にしていますから、わざとエルクヘアを多め、長めにして紹介しています。(もちろんそれでちゃんと釣れますしね)

前の章でも申し上げましたが、本来のテンカラはウエットフライであって水面下を流して釣るものです。そして沈めた毛バリは浮いている毛バリより数段魚の反応が良いのも確かです。それだけは忘れないで下さい。

しかし、そう言うアドバンテージがあるとしても、初心者の人にとっては、沈んだ毛バリを見つけられない為にテンカラの楽しさを味わい切れていないというデメリットのほうがはるかに大きい場合が往々にしてあるのです。それを少しでも軽減するために、わざとでかいドライフライで釣る釣り方をご紹介したわけです。

このカディスに限らず、すべての毛バリに決められた作り方があるわけではありません。ですから、あとはTAKAHAJさんが、ご自分の工夫でエルクヘアを増減させたりして実験をやってみることをお勧めします。そういうファジーなところがテンカラの良いところです。

それで人に何か言われたとしても気にしない、気にしない。テンカラは自分のスタイルで自由にやれる楽しさがありますから、何か言われた ら「これがTAKAHAJ流テンカラなんだ、ワッハッハ」とケムに巻いておきましょう。

それから風の問題ですが、確かにテンカラの最大の敵は風ですね。追い風ならまだしも、逆風はどうしようもありません。私はひたすら風が止むのを祈っています。この辺は私もいい加減&他力本願です、アハハ。 どうもすみません。(誰か良いアイディアをお持ちではありませんかね?)

以上、ずいぶん乱暴でいい加減なことを書きましたが、こんなもんでおわかりいただけましたでしょうか。 「郁楓テンカラ」の戯れ言とでもご理解いただければ幸いです。

何度も書きますが、すこしづつ試行錯誤しながら自分の(TAKAHAJ流)スタイルを作り上げていくことが大切ですし、それもまたテンカラの楽しさだと思います。

あとは、釣果が「TAKAHAJ流テンカラ」の正しさを証明してくれるはずです。(アハ、それが一番難しかったりして )

とにかく、今自分が使っている毛バリからスタートして頑張ってみて下さい。

そして、もしかすると、いろいろ実験した末にたどり着いた自分流(TAKAHAJ流)の理論が、私の毛バリ論を否定するものになるかもしれません。 でも、それはそれでまた愉快なことではありませんか。

では、信念を持って楽しい釣りを!


以上です。 回答の中にも書きましたが、皆さんもいろいろな実験をして試行錯誤しながら自分流のテンカラスタイルを作り上げていくことがテンカラのもう一つのおもしろさかと思います。是非挑戦してみて下さい。

他にもご質問のある方は下記へメールをどうぞ。



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「目次」  1:「概説」  2:「毛バリ」(マテリアル編)  3:「毛バリ」(タイイング編)
4:「実際の方法」  5:「素直な疑問」  6:「きみ悩みたまふこと勿れ」




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制作・著作 ikufu ikeda