無責任的野営論

VOL.3 地図の話(2)
コンパス
3.「現在地の同定」

地図を使っての作業の中で一番多用され、なおかつ基本的な作業は、自分が今どこにいるか、という「現在地の同定」の作業でしょう。自分の正しい位置が分からなければ目標物の発見とか、目的の場所までの方位・距離の算出や地形の把握は出来ません。ではこの現在地の同定の方法や地図の見方(読み方)について、少し触れてみます。

ひとつは、地形図と自分の周りの風景を見比べて現在地を割り出す方法があります。 これは単純なことではありますが、地図を読む力ないと意外と手こずります。普段から遠くの山並みを見てその山容から等高線の並びを想像したり、歩道を歩く自分と前の人との距離を目測したり、と、日常の中で訓練しておくことをお勧めします。

現在地を割り出す場合、まず第1に気をつけることは、コンパスを使って地形図を正しい位置にむけて置くことです。 また、この時に注意しなければならないのは、コンパスを使う場合、なるべく地面の上では使わないということです。 地面や土中の石が磁気を帯びている可能性がああります。そのような場合は正確な磁北を割り出せません。 同じ意味で、金属のそばや送電線の下も避けた方が無難です。

起立して胸の高さでコンパスを使うようにしましょう。 からだの中心線とコンパスの中心線を一直線にあわせたら、コンパスを動かさないように注意しながら、コンパスの針とコンパスのNの表示がピッタリ合う方向まで体を回します。 そこが磁北です。 そこで、顔を上げて、自分の真っ正面に見える何かの目印を決めます。 その目印と自分の足元を結んだ線が磁北線になります。
目印は石でも、木でも、送電線の鉄塔とかなんでもいいですが、山の頂上などの、大きくて遠くにあるものよりも、すぐ目の前のもののほうが線のイメージを作りやすく、より確かな磁北線が割り出せます。

この線と地図の縦が平行になるように地形図を置きます。 これで、磁北線の方向に地図を置くことが出来ました。 次に、前章でお話しした、西偏角の分だけ地図をずらせば、地形図を地形とピッタリの方向で広げることが出来たわけです。

さて、方位通りに地図をあわせたら、早速、自分のまわりの風景と合致する場所を地図上から探し出すわけですが、幸いに源流釣行などの場合、だいたい沢筋に沿って遡行していきますから、現在地を知ると言ってもその沢のどこかにいることだけは確かですから、その点は楽です。
今自分のいる沢を注意深く観察して下さい。。 上流に向かって大きく左に曲がっている、とか、下流はひろい河原がある、とか、右岸はずっと上までガレ場になっている、とか、左岸には涸れ沢がある、とか、右手の斜面は傾斜がきついとか、沢に降りて何時間歩いたとか色んな情報があります。これらを地図と照らし合わせることによっておおよその自分の位置が判断できます。

4.「複数の情報で判断する」

ところで、滝は意外に1:25000にもあまり記載されていません。目の前に滝があるのに地図には載っていない、なんていうことは結構あります。
涸れ沢
枝沢も、常時ある程度水量のあるもの以外は記載がありまません。 ですから、いくら自分の目の前に滝があったっり、枝沢があったとしても、それにだけで判断するのは危険です。 必ず複数の条件や情報を加味しながら判断する癖をつけましょう。

できれば見通しのきく場所が来たらそのつど、どの辺か確認しておくようにすれば安心です。左の図は、沢の名前は地図に載っていますが、水線がありません。 このように表示のある涸れ沢はまだ楽ですが、名前なんか書いてないものの方がそのほとんどです。 こういったものは地形図の等高線を読んで判断するしかありません。

実は、沢歩きではこれと言ったランドマークがありませんから、確認をとんでもないミスコースをしやすいものです。 この沢のどこかにいるという安心感から読図をちゃんとしないと思わぬ失敗をする場合があります。

等高線
「この沢を遡り最初の二股まで行ったら右の沢へ入る」という情報をもとにコースをとっていた場合に、「出会いがきたら右の沢に入るだけだから」という思いこみでコースの確認もせず遡行していると、時としてケアレスミスをおこしやすいものです。 たとえば、たまたま数日前に雨が降って地図上に記載されていない沢によって本当に曲がるべき出会いが現れるより下流に出会いが出来ていたら、どうでしょう。 地図を読まないで、情報だけで行動していたら、おそらくそこでミスコースすると思います。そして、それに気づかずにいれば、どこまで行っても誤謬を訂正できません。

先程も述べましたが、沢はすべて地図に記載されてはいません。目の前に沢が出てきた場合は、その沢が地形図に載っているものなのか、ず、地形を読みながら、必ず確認するようにしたいものです。
その方法は、図のように等高線をみて判断します。 矢印aと実線で示した部分は等高線が鋭くえぐられたようになっています。そこは実際の地形では樋のようになっているところです。 普段は水がなくても、時期によっては、雨水や雪解け水はここへ流れ集まって、それによって線に沿った形で沢が出来てきます

高巻でのミスコース
次に、こういう失敗もあります。
A沢を遡行中、B滝を大きく迂回して高巻く必要がある場合、図のように滝のすぐ上にZ沢がある場合。 高巻きに入る前に地図を確認しておけば何の問題もありませんが、地図も見ずに高巻きに入った場合、流れが見えたので、目的のA沢へ出た、と勘違いしてZ沢に入ってしまうというミスを犯す可能性があります。
これは読図の能力と言うよりは、地図の確認という基本的な部分でのミスです。
ただし、普段は涸れていて地図には載っていなくて、雨で突然現れた沢、などという場合もありますから、単に地図を確認するのではなく地形をしっかり読まなければなりません。

                          つづく     


前のページ                           次のページ 


 ご意見ご感想は連絡帳へどうぞ            このページは「地図の話(2)」です。 


HOME PAGE

Copyright (c) 郁楓庵