無責任的野営論

VOL.5 地図の話(3)
コンパスリング
5.「クロスベアリング」

さて、次に、コンパスを使って自分の位置を知る方法についてすこし書きます。 クロスベアリングという方法です。
簡単に説明すると、自分の位置から見える、ある二点の目標物への方位角度を測り、地図上で、その目標物を通るそれぞれの方位角の線を引く方法です。この二つの線が交差するところが自分の位置となります。
<写真/可動リング式のコンパスには目盛がついている>

ただ、方位角を測るとは言っても、精密な測量器械や技術を使うわけではなく、単純な手作業で行うのですから、ある程度の誤差は必ず出ます。 ですから、目標物も二地点より三地点のほうが確実です。 それより四地点の方が、なお確実、というように目標物が多ければ多いほど確実なのですが、沢山の目標物を定めて方位角を測るのは非効率的ですので、とりあえず二地点からの交点をとり、それが間違っていないかを確かめるために三地点目の線を引く、というのが一番効率的です。
ただし、このクロスベアリングは、ある程度見通しがきく場所でないと実行できないとう弱点と、地図を読む力がないと地図上で目標物を同定できないという弱点があります。

もう少し具体的に説明いたします。 このクロスベアリングを行う場合は、リング式のコンパスを使うのが一番便利です。

まず、まわりを見て目標となるような目印を探します。特徴のある山の頂上などが一番わかりやすいでしょう。その頂上が地図上でどの山の頂なのかなのかを同定します。
次にコンパスを使って、自分の位置からのその山頂の方位角を読みます。【図1】 
その方法は、目標物1に正対しコンパスを目標物1にしっかりむけて胸の前で構えます。
次に、コンパスを動かさずにリングだけを回してリングの中の矢印をコンパスの針に合わせます。これでコンパスがセットされました。 【図2】

リングの矢印とプレートの矢印との角度差Aを読みとります。(この場合磁北を基準にして、東へ何度、あるいは西へ何度、といふうに角度を割り出した方がイメージを掴みやすいようです)【図3】

ここでさきほど地図で見つけておいた地図上における目標物1を通るその方位角の線(Y)を記入します。この場合の角度は、真北(地形図の真上)ではなく、磁北線に対しての角度である事を忘れてはいけません。

これで、一本の線が引けました。 さてこれで何が分かるかというと、自分はこの線上のいずれかの地点にいると言うこがわかるわけです。

 同じ手法で、目標物2と磁北の角度差(B)を割り出し、地図上の目標物2を通る磁北に対する角度Bの線(線Z)を引きます。 すると、線Yと線Zの交点(P)が出来ます。 そこがまさしく自分のいる位置となるわけです。

さらにそれが正しいのかどうかを確認するときは、もう一つの目標物3を決めて角度を測り、線(X)を引きます。
これが、先ほどの交点Pと重なれば正しい、あわなければどこかでずれている、という判断が出来るわけです。
沢にいるときは、3本目の線は水線がその役目をしてくれます。 つまり、沢にいる限りは、線Yと線Zは水線上で交わらなければならないからです。

この方法は、実際の目標物と地図上の目標物を的確に同定出来ていないとその信頼性は根底から揺らぎます。 地図をしっかり読む力をつけましょう。

最近は、腕時計にコンパス機能がついているものもあります。これがなかなか優れもので、簡単に方位を割り出すことが出来ます。
私もこれは重宝していますが、実際に細かいコンパスワークをする場合は、なんと言ってもシルバ型コンパス(リングのあるもの)が一番です。

蛇足ながら、デジタルの高度計というものを活用している方が最近は多くなってきました。 腕時計などにもそう言う機能が付いているものがあります。 私は、いままでこの高度計はあまり活用して来ませんでした。 というより、使い方に慣れていないといったほうがいいかもしれません。
コンパス付き腕時計
この機能は、気圧の変化によって高度を算出するメカニズムですので、同じ場所にいても気圧が変われば違う高度を表示してしまうというウイークポイントがありますが、1日釣行するくらいであればそれほど気にすることもありません。 ただし、高度が地図でハッキリわかる場所等では高度を修正した方がより正確性が増します。 高度計の話はこのシリーズの番外編で安谷さんが書いていらっしゃいます。そちらも参考にして下
さい。


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