|
一本のロープを自由自在に操って変幻自在の結びを作り上げることはアウトドアを志すものとして基本中の基本です。 一つの結び目が生死を分けることは、ザイルに自分の命を託すシーンによくぶち当たる渓流での遡行では充分考えられることです。 とはいえ、そんなに難しく考える必要はありません。 結びは数多くありますが、基本的な結びを何種類かをきちんと覚えれば、あとの残りは少しづつ覚えていけば充分です ただし、ロープの結びを覚えるときはロープを手にして、実際に結びを行いながら覚えることが大切です。私もたたき上げのボーイスカウトとしてそしてリーダーとして、子供達にロープワークを指導していますが、当然のことながら、常に実技第一です。 なぜならば、ただ本を見て覚えただけでは、どこを引っ張れば良く締まるか、どれぐらいの長さが必要か、解くときはどうすればよいか、などの実践的感覚が全然養われないからです。 これでは役にたつロープ結びを覚えたことになりません。 それからもう一つ。その結びが出来るようになっただけでは何の役にも立ちません。すべての結びの特徴をよく理解して、用途別にどの場面でどういう結びを使えば有効か、常に最適な結びを的確にえらんで素早く結べるように日頃から訓練しておくことが大事です。 結びは大別すると、結び目を作る、なにかに結びつける、ロープ同士をつなぐ、輪を作る、何かを縛りつける、などに分けられます。 それらの代表的なものを覚えておけばあとは応用の問題です。 以下にその例を少し挙げます。
【もやい結び】 ブーリン結び King of knot ともいわれる。 輪を作る結びだが、特徴として、一度作った輪の大きさが大きくなったりちいさくなったりしない。AをしっかりDにかけたらA、B、Cを握ってDを引っ張るとよく締まる。 イの輪を作る位置はロの輪の大きさを勘案しながら決める。
【引き解け結び】 もやい結びと同じく輪を作る結びだが、Aのロープを調節することによって、輪の大きさを大きくしたり小さくしたりできる。 またAを引っ張ればすぐに解ける結び方である。 逆に言えばAに加重のかかる使い方は避けること。
【ひと結び】 ハーフヒッチ ロープを、対象物に結びつける方法。 あるいは各種の結びをした後に緩むのを防止するために、このハーフヒッチをかける場合がある。 タイイングをする場合にも、よく使う結び方である。
ロープを、対象とする物に結びつける方法。 インクノット、マストノット、クローブヒッチともいう。 円柱などに結びつけるのに適している。 カラビナをザイルの途中に固定するときなどにも使う。 ただし両端に加重がかかっていれば緩みにくいが、片方だけに加重がかかると緩んでしまう。
巻結び(マスト結び)の巻付けを半分にした結び方。 制動をかけやすいので、懸垂降下でエイト環がない時や、ビレイをとるときなど、制動が必要なときに使用される。Aの輪の上にBを重ねる。
【止め結び】 ロープの端っこを策端という。 ここがほつれてきた時に臨時的にとめるために結んだり、ロープにコブを作るときに結ぶ。 オーバーハンドノットともいう。 また結索した後、抜け落ちるのを防止するために策端にこの結びを施す場合もある。
【固め止め結び】 上記の「止め結び」に更にもう一回からませて、より強固な止め結びを作る方法。 ダブルハンドノットという。これをダブル(二本)で結ぶのがサージャントノットである。
【八の字結び】 この結びも策端を止めたり、コブを作ったりする為によく使われる。 止め結びより解きやすい。 カラビナを結びつける時にも使う。(図参照) また、二つのロープを結びつける時にも使うなど使用範囲が広い結び方である。
ただし、材質や太さが違うロープには向いていない。 右図のように偏った力が加わると結びがくずれる。 逆にこれを 利用すれば、この本結びを簡単に解くことが出来る。 右図は「ひばり結び」という。
なお、この巻付けを2回行う二重巻結び(右図)は結び目が若干大きくなるが強度はより確実になる。
これも2本のロープを結ぶ(つなぎ合わせる)ときに用いる結び方。シートベンドとも言う。 ロープの太さが違うときに使用する。 また、シュリンゲ同士を連結する場合も、この結びを用いると連結した場合のロープの長さが調節しやすい。 この一重継ぎを、より強固にしたのが右側の二重継ぎである。
【サージャントノット】 2本のヒモを結びつける場合の結び方。 固め止め結びをダブルで行う結び方。 釣りの場合にもよく使われる。とくにテンカラのラインとハリスなど、太さが違う場合でも大丈夫である。 その場合、予め短く切ったハリス側をくぐらせるとよい。 締めるときは4方向を均等に引っ張る。 「サージャントノット」は「サージャンズノット(外科医結び)」と名前が似ているので混同しないこと。結び方自体も似ているが、「サージャンズノット」(下図)は本結びの変形であることをよく理解して欲しい。 【腰掛け結び】 名前の通り、人をつり下げることを目的に使われる結び方である。 これは、かなりの体重がかかることを考慮に入れ、ザイルを選ばなければならない。Aの輪をBの図の通り結びの上までひっくり返すように持って行ってからグッと締めるのがポイント。 また、出来上がった輪は、右図で分かるとおり、人が腰掛けられる大きさでなければ役に立たない。 またその場合脇の下に来る方の輪を若干小さくしないと正しい姿勢で持ち上げられない。これらはAの時点でBの二つの輪の大きさを調整しておくのがポイントである。 いずれにしても緊急時に使う結びであるから結ぶのに時間がかかるようでは役に立たない。平素から素早く結べるように練習しておく必要がある。 ![]() 【ファイアーマンズノット】 腰掛け結びの一種。 このほかにも何種類かの腰掛け結びがあるが、いずれの腰掛け結びも、加重に耐えるためにダブルにしてその先端に作るようにしなければならない。 同じ向きの輪を3つ作りAの輪をBの輪とCの輪に通して、適宜の大きさの輪を作る。この結びは結びが大きくなるが、逆にそのお陰で幅の広い物例えば担架などもつり下げることが出来る。 ![]() 実はこのファイアーマンズノットは「ちぢめ結び」と全く同じである。縮め結びは最後にハーフヒッチをかけない。二点間に渡したロープの弛みをとる場合に用いる結びである。この結びの変形が南京結びである。 いずれの結びもハーフヒッチだけで出来ていることに注目。 要するに結びは単純な結びの組み合わせなのだ。 ![]()
また、左図のような腰掛け結びもある。最初に作る輪を3つではなく2つの輪を作るだけであとは同じくハーフヒッチをかけて出来上がり。 【エイト環へのザイルのかけ方】
逆にすると、右側図のようにタイオフが発生する。くびれの部分のザイルが、矢印のように上にめくれてしまいザイルが滑らなくなってしまい、懸垂下降中に立ち往生してしまう危険がある。現在はこのタイオフを防止するつめが付いているエイト環もある。 【プルージック結び】 メインのザイルにシュリンゲを結びつけたり、懸垂下降の際に支点をとる場合に使用する。ザイルに結びつけた場合、結び目は自由に上下できるが、荷重がかかると動かなくなる。 これを利用して、ザイルを伝って登るときなどに使用される。シュリンゲを結びつける場合、シュリンゲの結び目のある方からザイルに二回巻き付けることがポイント。 結びを締める場合は捻れを補正しながら正しく締める。 ![]()
【トートラインヒッチ】 張り綱結びとも言う。 その名の通り張ったロープの弛みをとることが出来る。 通常、テントの張り綱を締める場合に使用する。 一結びをした後にその結び目方向に2回巻き付ける。この時、最初の一結びとの間に20〜30cmほど間隔をあけるのがポイント。 2回巻き付けたすぐの外側へ再度1回巻き付けて出来上がり。締めるときは最初の一結びをずらして綱を張って、次に3回巻いてある部分をずらして締める。
【ひばり結び】 他のものにロープを結びつけたり、薪などを束ねたりするときに使う。本結びを変形させるとこれと同じような形になる。 エイト環がタイオフしたときと同じである。 結びとはほとんど基本は同じで、そのバリエーションの広がりであることを頭に置いておいて欲しい。たとえば、この結びはヘビ口にラインを結びつける時の結び方だと言うことに気づいたであろうか。 【南京結び】 正式名称は分からないが、通称南京結びと言っている。 縮め結びの変形。 通常、トラックなどの荷台の荷物を押さえて、締めるときに使用している。 これは2点間にロープを渡して緊張させるのに最適である。木立の間に渡してシートをかぶせればリッジの代わりになる。チロリアンなどの場合もザイルをピンと張ることが出来る。但しAの○印の部分ははずれやすい。 それを防止するために最右図のように小枝などを一つ挟んでおくとよい。
![]() 以上が、結索法のほんのさわりの部分ですが、これだけ知っていれば大体の場面でなんとかなるはずです。 本当は他にもたくさんありますが、多く知っていても頭が混乱するだけですから、まずはここに載せてある分だけでも徹底的に練習して、短時間で結べるようになるまで習熟して下さい。 更に興味がある方は専門書をお読みになることをおすすめします。 |
ご意見ご感想は連絡帳へどうぞ このページは「結索の話」です。
Copyright (c) 郁楓庵