無責任的野営論

VOL.1 野営の話

今日の釣果
<今日の釣果。これで夕食もOK。>
1.「野営は日常生活の延長」

テントやコッフェルを背負って山深く源流に分け入る、なんていうのは、渓流釣りをする者にとっては最大の憧れです。
でも、野営用の道具を準備する事を考えると、どうも煩雑で面倒くさく感じてしまいます。 別にそんなに構えて考えなくてもいいようなものですが、どうもそうはいきません。 私もそんな人間の一人ですが、ここは一つざっくばらんに気張らずに、なおかつ独善的に野営のことについて考えてみましょう。

野営の道具を揃える場合まあ、要は我々の日常の生活を考えれば簡単なことです。 寝て、起きて、食べる。 出すものを出して、食べてそしてまた寝る。 たとえそこが家でも、自然の中であっても、その生活の基本的なサイクルは同じですから、野営の道具を揃える際のポイントは次の3つ。
1:着るもの 2:食べ物 3:寝るところ  いわゆる衣食住の3つのポイントをしっかり押さえておけば充分です。

ただし、当然のことながら家を丸ごと背負って行くわけにはいきません。 大事なのは、如何にコンパクトで、軽い装備にするか、です。 これが源流釣行に限らず山岳登山やトレッキングなどアウトドアでの装備の基本中の基本と言えます。

2.「たとえば、着るものについて」

渓流はファッションショーの場ではありませんし、ファッションセンスを褒めてくれる人も居ません。 実用本位でいきましょう。下着は毎日着替えないと身が持たないなどという人は野営には向いていません。 下着は勿論その他の着替えなんかも2泊くらいまでだったら無くても充分です。 私は、ジャージにトレーナーくらいを持ちますが、普段は余計なものは持ちません。 ただし、「裁縫道具」 これだけは必ず忘れず持っていくこと。 あのほんとうに小さな縫い針とわずかばかりの糸にどれだけ感謝したことか。

下着だって上下1組の替えで充分。 野営地で着替えたらすぐに沢で洗っておけば大体乾きますし、焚き火の側に置いておくとなお早く乾きます。(風向きによっては薫製みたいになっちゃうけどね) ただし、夜中まで出しておくと夜露に濡れてかえって湿ってしまいますから気をつけましょう。
さて、衣類は濡れてもすぐ乾くものを準備するのは言うに及びませんが、特にアンダーウエアは速乾性と保温性が大事。 いまは、クロロファイバーと かオーロンなどの新素材のものがいろいろありますね。
この素材の製品は単なる下着として見れば、私の経済感覚からするとちょっと「お高い」気もしますが、それなりの効果はあります。

山中、とくに沢沿いは夜半から朝にかけて意外に冷えます。 保温の観点からすれば、充分な防寒具を持って行けるのであればそれに越したことはないのですが、装備の基本は軽量・コンパクトですから、そのかねあいで決めなければなりません。 私の最終的防寒具は雨合羽(今風に言えばレインギア)です。この雨具が結構保温に役立ちます。 できればゴアテックスなどの素材のものが、蒸れることもなく、快適に過ごすことが出来ますが、貧乏性の私は未だにゴアの雨具は持っていません。(^^;

3.「見落としがちなのが靴下と帽子」

それから、意外と気が回らないのが靴下と帽子と手袋ですね。
まず靴下ですが、余分な着替えは持って行かなくても替え靴下は持っていきたいもの。 野営場についたら必ず濡れた渓流シューズや渓流足袋は脱いで、充分に足を乾かしてから乾いた靴下に履き替えましょう。 こんな時ビーチサンダルなんかがあると役に立ちます。こうして足を充分に乾燥させておくだけで次の日の疲労の回復度が全然違います。 

帽子は日差しから頭を守るばかりでなく、枝や石などからも保護をしてくれます。風で飛ばされないように顎にかけるゴムヒモなどを縫いつけておくとヘツリの時など帽子を気にしなくて済みます。 藪漕ぎをすることを考えると、つばの広い帽子は逆に少しつらいかも知れません。
 岩を上り下りをする場面がある源流へ行く時はヘルメットを持参していった方が身のためです。

手袋は必需品です。 軍手で充分。 濡れても滑りませんしね。 但し、時々化繊のものが売られていたりしますが、軍手は綿のものに限ります。 ただ、難点は藪漕ぎの時に、たまにあちこちに引っかかってしまい、時として立ち往生を余儀なくされてしまうもあります。
私の愛用はDIYで売っている作業用の革の手袋です。  皮の手袋ですと軍手のようにトゲが刺さったりしません。 ただし革の手袋は濡れると滑りやすくなります。 沢を歩くときは、むしろ濡れても滑らない軍手の方が有効です。

塩焼きの下準備
4.「喰うことについての一考察」

食料は現地調達できるものがあればそれを利用するのが賢いやり方。山菜や魚がその代表です。 もちろん水は豊富にありますし。
そう考えると、強いて必要なのは主食の米と、ミソ、醤油、塩などの調味料くらいなものですかね。 まあ、あとできれば胡椒とか七味や砂糖を持っていくと結構使い道があります。 もし、その他の食料品(レトルトやフリーズドライなど)を持っていくときは、外箱はあらかじめ家で捨てていきます。容積や重さを減らすことと、山中で余計なゴミを出さないためです。インスタントラーメンもカップメンは嵩張りますので袋のものに限ります。
私はこのインスタントラーメンのスープの素と戻したアルファ米と一緒に煮込んだおじやが好きです。
                     <写真:自然の恵に感謝しつつ、今日の釣果を調理するのもまた楽しい>

それから、小袋入りの味噌汁の素は最初からダシが入っているし小袋に分けられていますから結構役に立ちます。たとえば、イワナをぶつ切りにして煮込めばそれだけで美味しい岩魚汁の出来上がり。

さて次に、炊事をするときの知恵です。 携帯ストーブを使用するときは構いませんが、焚き火で炊事を行う場合に厄介なのはコッフェルに付く煤(すす)ですね。これは洗ってもなかなか落ちなくて苦労してませんか。これを解消するのにとっておきの方法があります。 通常はクレンザーを水で溶いて、お好み焼き用の溶いた小麦粉くらいのドロドロにします。

これを火にかける直前に、コッフェルの外側に薄く塗っておくだけ。 これでOKです。 要するに鍋をクレンザーでコーティングするわけ。 これを火にかけると、塗ったクレンザーが乾いてその表面に煤が付くことになりますから、水で洗うだけで、クレンザーごとススが流されるために簡単に素早く綺麗にできます

ただし、渓流などの自然の中ではなるべくローインパクトに心がけなければなりません。 その場合、クレンザーの代用として使えるのは「泥」です。 粘土質の土を水で溶いてドロドロにして塗れば同じ効果が得られます。ただし厚く塗ってはいけません。熱効率が悪くなったり、乾けば剥がれ落ちることがありますから、あくまでも薄く塗るだけで充分です。これで水洗いだけで簡単にススが落ちます。 是非お試し下さい。                      
                                   次章へ続く


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