無責任的野営論

VOL.2 野営の話(2)
蕗の葉の皿
  承前

さて、食器も余計なものは邪魔になるばかりですのでなるべく少なくするよう努力します。 山には食器の代わりになるものがたくさんあります。たとえば、われわれの仲間(そうめにすと)が渓流で食事をとる場合などは、フキの葉っぱが皿の代わりになります。 時にフキの自然の香味が口中にひろがったりして、それはそれは美味なものです。
もし皿やコッフェルなどの食器を洗うときは、クレンザーの代わりに泥水を使って汚れを落とします。 その後で充分に水ですすげば後片付け完了です。

<写真:蕗の葉に盛ったそうめん。 自然の薬味が効いています。

5.「イメージトレーニング」

さて突然ですが、緊急時に必要なもの、この準備は装備の中でも一番重要なものの一つと言えます。今までいつも準備して行くけど、1回も使ったことがないから今回は必要ないかも、時としてそんなことを考えがちです。しかしそれは大きな間違いです。 使う機会がなかったからこそ、なんの騒ぎもなく無事な姿の今の自分があるのだということに感謝しなければなりません。
いざ必要になったときにちゃんと準備をしてあるのと、なんの備えもないのとでは、最悪の場合、生死をわける重大な要因であるということを認識しておく必要があります。

その中でも非常食は重要なものかもしれません。
基本は軽くてカロリーのあるもの。 氷砂糖などは昔からの山登りをする人の御用達。 カロリーメイトなどもGOOD。 私はチューブ入りのコンデンスミルク(苺にかける奴)を持って出かけます。 これはカロリーも抜群です。だいたい山や沢をやっている人は自分のお気に入りの非常食があるものです。

乱暴な話ですが、たとえ遭難したとしても、カロリーの高い食品と飲み水さえあれば(怪我さえしていなければ)、大抵の人は1〜2日は充分体力を維持できるはずです。というよりもどんなことをしても死にはしません。 ふだんの生活を考えれば判ると思います。たとえば腹痛で二日間絶食しても死にはしませんね。
山で遭難した場合は、体力的には大丈夫でも、精神力でまいってしまう場合が多いと考えられます。 それと死因は餓死ではなく凍死という場合がほとんどでしょう。そう考えると、もし万が一遭難した場合は、食料よりも強い精神力と的確な状況判断能力、これが生死を分ける最大の要因と考えられます。
ただし、幸か不幸か、私自身そう言う状況をまだ体験したことがないので確かなところは言えませんが。
でも、そう言う状況になったときのためにイメージトレーニングをしておくのは無駄ではないと思います。遭難したと思ったらどう言う行動をとるべきか。生きてかえるのはどいう判断をすべきか、ということを何度も考えて確認しておくべきです。

私も少しばかりそういう訓練をやっています。 でも、本当にそう言う状況に陥ったらどうなるか自信がありません。 実は、一回だけ道に迷いかけたことがありました。 これはついに遭難したかと思いましたが、そのときは落ち着かなければ、という思いが頭を駆けめぐるのですが、それよりもアドレナリンの方がもっと強烈に身体を駆けめぐり、心臓がバクバクいって、かなり落ち着きをなくしてたのを鮮明に覚えています。これにより、自分たちが日常生活の中でイメージしているよりももっともっとタイトな精神状況になることが判りました。イメージトレーニングもかなり力をいれてやらないとなんの役にも立たないようです。

楽しい夕食
6.「住について」 

大人数で、荷物の分担が出来るのであればドームテントなどを担ぎ上げても良いのですが、軽量・コンパクトを心がけるとすれば、それはちょっと無理な話です。 私はツェルト派ですが、ツェルトのフライだけというのも渓流では良いようです。 ブルーシートを使う方もいますが、あれも単価が安くて重宝しそうです。ただある程度の大きさになるとコンパクトとは言えなくなってきますが。いずれにしても、こういった材料で簡単なリンツーを作るのも野営の楽しみの一つであり醍醐味です。 ワイルドな野営が約束されます。<写真:一日終えて楽しい夕餉の宴>

野営を行う場合、気をつけなければならないのは、キャンプサイトをどこに設定するかです。いくら河原が広くても流れの近くは避けるべきです。いつ、どんな理由で水嵩が増えるか分かりません。 それに水のそばは気温も下がりやすく明け方はかなり冷えます。

野営を張る場所としては、ゴツゴツした石や岩のある河原よりも少し下草がある繁みのそばが私の好みです。 地面が岩などよりもまだ柔らかいですし、リンツーを作るときにちょうどよい潅木などが見つけやすいし、焚火の燃料となるものが調達しやすいという利点があります。

さて、この場所の選定についてよく言われるのが、野営する場所のまわりの立木を見て泥や枯れ草がついていないか確かめるということです。増水した場合、そこまで水が来たことがあるという証拠です。 ですからあまりすぐれないお天気の時は、そこよりも高いところに野営場所を選定しなければなりません。

でも、その渓谷の奥行き、その日までのお天気と今後のお天気を考え、どう考えても増水する要因が無い日に野営する場合には、それほど気にすることはないでしょう。 あまり水から離れすぎても不便ですし。 ただ、そう言うことを分かっているかいないかで自分の安全確保の仕方に違いが出てきます。少しでも可能性があるときは万全を期すに越したことはありません。

沢を歩いていると、野営を張るのに適した場所というのはそうそう簡単には見つかるものではありません。 だいたい午後3時くらいになったら野営の出来る場所を探すことに心がけながら行動したほうがいいでしょう。 暗くなる前には寝る場所を確保し薪を集め、夕飯の準備を終えるのが鉄則です。山中や沢で暗くなってから歩き回るのはたいへん危険なことだということは皆さんもよくご存知でしょう。

7.「寝床の話」

寝るという事は、肉体的にも、精神衛生上もたいへん重要な事です。 それも、安眠するという事が最も重要な課題です。 まず、寝る場所はなるべく平らなところが理想です。どうしても斜面しかない場合は頭が高い方に来るように場所を選ぶのは当然です。 次に凸凹がないか、石が落ちてないか、切り株がないかを簡単に調べます。ドングリほどのほんの小さな石が背中に当たっただけで寝られません。 乾燥した枯れ草や葉っぱがある場合はそれを敷きつめクッションにすると野外ならではの豪華なベッドになります。

ここで忘れてならないのが、ロールマット、これは私にとって必需品です。私としては、他の荷物を削ってもこれは手放せません。 適度なクッションもありますし、断熱効果があって、しかも地面の湿気を遮断します。それに、寝るときだけじゃなくて、沢を遡行していて、泳ぐ場面になったとき、手頃なフロートの役目も果たします。

寝床さえ出来上がれば、あとは、シュラフにもぐって寝るばかりですが、シュラフも結構かさばります。 ここはひとつ奮発して、ゴアテックスのシュラフカバーなんかを利用するのも一つの手です。 これさえあれば、ツェルトも必要ありません。

ちょっと変わったギアがあります。右の写真は、アメリカのREIのカタログに載っていたものですが、Outdoor ResearchのBIVYSACKというものです。 ゴアテックス製で頭部に防虫メッシュがついているシュラフとツェルトが一緒になったようなものです。 重さは1lb6ozですから約630gほど。 こんなものも面白いかも知れません。ただし、私の知り合いの愛用者の話では、これだけでは夏の渓谷でも明け方はかなり寒いようです。やはりほかにシュラフなどが必要だとのこと。

REIはアメリカのアウトドア用品の組合組織で、15ドルを払ってメンバーシップを取るとことができます。(注文は誰でもできます) ここからも「REI」のホームページに飛べます。


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