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我が釣友に素晴らしき男が居る。 その名をJという。 僕より年上であるが、僕と一緒にいても年代の隔たりを全く感じさせない。 とにかく若い。 物の考え方や行動力は僕以上に柔軟性がある。 あらゆる事に興味を持ち、常に探求心を持っている。 その何事にもチャレンジする精神が若さを保つ秘訣だろうか。 実は、その友人Jは、冬場はハンターとして狩猟にも出かける男なのだ。 |
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ある時ふとしたことがきっかけで、毛鉤のマテリアルに鴨の毛を使ってみたいという話になった。 Jは「じゃ鴨を撃ち落としたら一羽あげるから、それでマテリアルを採ってみたら」と言ってくれた。 その時は何の考えもなしに「じゃ、よろしく」と答えて置いたが、よく考えたら鳥を丸ごと一羽捌いた事なんてなかったのだ。これは一大事である。 どうしよう。 そんことをあれこれ考えているうちに、友人Jからe-mailが届いた。 「鴨送ったからよろしくね。」 「なぬー!? もう送ったのか」僕は驚いた。つい昨日解禁になったばかりなのにもう撃ち落としてきたのだ。 相も変わらぬJの行動力には舌を巻かされる。でも、釣り人も同じかな。解禁日を待ちこがれるのは.。^^; |
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届いた箱を開けてみて僕は唖然とした。 1羽だけ送られて来るものとばかり思っていたのに、なんと5羽も入っているじゃないの。 初体験の僕には十分と言うより、ちーと多すぎる数だ。 Jも人は良いのだが気前も良すぎる。 半ば途方に暮れていたちょうどその時、知り合いが訪ねてきた。 あはは、これは千載一隅のチャンス。 相手が何がなんだか訳が分からないでいる間に、断るスキを与えず新聞にくるんで、一羽あげてしまった。 これで、一羽は里親(^^;が決まった。 結局、のこり4羽のうち3羽は「そうめにすと倶楽部」の山形メンバーに配り、めでたく1羽の鴨だけが僕の教材として手元に残ったのである。 |
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さて、しげしげと眺めてみる。これがつい2日ほど前まで飛んでいたのか。意外に軽い。これを捌くのか。つい僕は愛着が湧いてこいつに「鴨のガーちゃん」と名付けてしまった。 とりあえずガーちゃんの羽をむしらなければ。それから、翼と足と頭を切り落として、骨から身を剥がせば、それでOK。 なーんだ簡単なものである。(言うだけは、ね ^^;;) と自分を奮い立たせて挑戦してみることに。 しかしせっかくやるなら、記録に残したい。 ということで、鴨のマテリアルを獲得するまで、というよりも、ガーちゃんを切り刻んだ手順の一部始終を、ここに紹介することにする。 | ![]() |
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今回は別の友人であり、狩猟民族を自認する東さんに捌き方をメールで教えてもらっている。何とかなるだろう。 ただし、僕のやり方は、あくまで自己流。 しかも初めての体験である。 慣れた人から見れば、お見苦しい点や気にくわない点もおありかと思うが、目をつぶっていただきたい。 というより逆に何かアドバイスがいただければ嬉しいなぁ。 ガーちゃんは内蔵が全部取り除いてあって、血抜きしてある。 それがしてあれば僕としてもまだ気が楽かな。スプラッターは大の苦手だからね。 仰向けに置くと、ちょうど尻の処から内蔵が抜かれた穴が見える。 ところで、後でJに聞いたところでは、この内蔵を抜いた人物(Jのハンター仲間)は釣りをやらない人だったという。 ということで、残念ながらCDCはもののみごとに内蔵とともに捨てられていた。 ううう、ホントに残念。 今度は、まずCDCを抜いてから、内蔵処理をしてもらえるとありがたいなぁ。 自分勝手な希望である。^^;; |
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試しに恐る恐る胸の回りの毛をぬいてみる。 お、意外と簡単に抜けるものである。 これに元気づけられて、まずは毛鉤に使えそうな羽のある処を選んでぐいぐいと羽を抜く。 一番良いのは翼の付け根の脇腹の部位である。 ここを重点的にきれいに抜く。 欲しい部分を抜いてしまえば、あとは他の羽には用はない。 とりあえず、フェザーの部分をブチブチと抜いていく。その下からダウンが露われてきた。フェザーとダウンは一緒に抜くべきなのか、どうなのか、良くわからないが、とりあえず、僕の「ガーちゃん」はダウンだけが残された状態になった。 次に、背中のダウンを抜いていく。 おお、つ、ついにピンク色の地肌が見えてきた。 羽を触っている間は自分の体温で暖かみを感じていたが、さすがに地肌はヒンヤリと冷たい。 肌も文字通り鳥肌になっている。(^^; 何故か感動。 | ![]() |
遠目に見たらおかしかったろうね。 いい大人が、掃除機をもって空中を振り回している姿、どう見てもカッコわりい。(^^;; しかし、これがかなり面倒。 で、一計を案じて手を濡らして取れば飛ばんじゃろ、と思ってやってみたら、これが完全な失敗。 濡れた手にくっついて取れない。かなり根性を入れてとろうとしても、まるで糊でくっつけたみたいにピッタリとくっついてとれない。 今になって一つ思いついたのは、羽のくっついた手を水洗いしながらやったらどうなんだろうか? という案。 この辺は次の機会があったら(いつのことだろう^^;)是非試してみたい。 |
![]() 部屋中にダウンが舞い飛ぶ。 |
![]() 採ってみるが、かえって逆効果だった。 |
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さて、頭と翼を除いて、なんとか一通り羽をむしり終えた。 まだ、若干羽が残っているが、とりにくい羽は熱湯をかけると、とりやすくなると教えてもらっていたので、その通りにやってみる。 けど詳しいやり方が解らないので、とりあえず首を掴んでガーちゃんをぶら下げながら体に熱湯をかけてみた。 ところが、さすがガーちゃんは水鳥だけはある。見事にお湯をはじいてしまって全然お湯をかけた効果がない。 たぶんなにか、方法があるに違いないのだろうが、こちらは独学の初心者なのだからしょうがない。二度やってうまくいかないのでこの方法はあきらめてしまった。 体のあちこちに散弾の痕が見えている。それ以外は健康そうなピンクの肌色である。 ガーちゃんは健康だったに違いないな。^^;;; |
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やっとここまできた。 ほとんど毛をむしり取られ横たわっているガーちゃんの体をしばし感慨深く眺める。 さて、ついにガーちゃんの体を切り刻むときが来た。 東さんに、肩へ切れ込みを入れまず翼を切り取るように言われている。 もうここまでくれば慣れたものである。 ほんの一瞬ためらった後僕はナイフをガーちゃんの肩へ滑らせた。 あわい黄色みを帯びたピンク色の皮がスッと割れてレバー色の肉が姿を現した。無性に感動的な、綺麗な色である。しかしすぐに骨に突き当たった。 さすがに骨まで切るのは大変なので、関節の処から折るようにして切り取ってしまった。 | ![]() |
それから足の切断。羽の生えていなかった部分から切り落とす。これは簡単にできた。そして最後に首の切断。 これが一番やりたくなかった。相手は死んでいる単なる肉とは言え、ひと思いにさっとやらなければ気分的に落ち着かない。 この辺と見当をつけたあたりをナイフでどんと骨を砕くように振りおろして一気に切断する。 切断面を見ると、首のほとんどを食道(か、あるいは気管?)が占めている。頸骨にはうまそうな筋肉が付いていた。^^; |
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さて、これで仕事も三分の二は終わった。 あとは肉を切り分けるだけである。 とりあえず、余分なものを切り取った状態で、まだ産毛やダウンがガーちゃんの胴体に若干残っていた。 皮を料理に使わないのであればこういう状態でも皮を剥がすだけであるから、べつにどうって事はないのだが、鴨にかぎらず鳥類を食べるときは皮が味を決めるし、栄養素も多い。 皮は是非残したまま調理したいものである。 ということで、その産毛をどうしてもとってしまいたかった。うーんと30秒ほど(^^;考えた末、苦肉の策として、水道の流水の中で軽くこすってみたら、あら不思議、なんときれいにとれるではないか。 結局、最終的には写真の如く綺麗な状態まで仕上げることができた。 ここまでは我ながら95点の仕上がりである。 自分は天才なんじゃないかとおもってしまうなぁ。 |
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再びナイフを持って内臓を取り出した穴から胸にかけて切り裂いてゆく。胸の骨(人間で言うあばら骨)は柔らかい1枚の板状の骨である。これは簡単に喉までナイフで切り裂いて行ける。 この状態で、胸腔内に残っていた臓物の滓や器官や塊血などをざっと取り除く。これで魚で言えば開きの状態になった。 ホントにこんなやり方でええんかいな、と一抹の不安を覚えながら、次に骨から少しずつ肉を切り離していく。 見るからにうまそうな小豆色の肉 である。 ここで難しかったのは肩の骨の部分から肉を切り取るところ。 これまた「えーい、面倒だ」と、いい加減にやってしまった。 ま、いいか。 足の部分も関節の処から一応切り離してから、背中の部分で左右に切って、ついに三枚におろすことができた。(鳥肉も三枚におろすなんて言うわけないか^^;;;;) 次に足の部分も骨から肉を切り離す。 |
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ガーちゃんと格闘を初めてもう1時間以上たっていた。 いまはもうガーちゃんのあの姿はない。 ちょん切られた首がその面影を留めるだけだ。 しかしなんとかうまそうな肉がとれたじゃないか。本当に綺麗な小豆色をしている。感激の色だ。 骨は水できれいに血を洗い流し、ガラスープをとる事にする。 そしてこの肉は適当に切り刻んでネギと一緒に煮込んで、鴨南蛮の鍋焼きうどんにして食べよう。 おお、考えてみればなんと贅沢な事か。これを美味と言わずして何が美味であろうか。 初めての作業を成し終え、ひとり悦にいる僕であった。 | ||
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今回は初めてと言うこともあって、だいぶ苦労した部分もあったが、毛鉤のマテリアルもとれたし、言うこと無し。 最初の目論見通り、なんとかその目標を達成できた。 最初はどうやって捌こうかと真剣に思案をしたが、やってみれば大変楽しい体験であった。 経験豊かな方から見れば、なんとももどかしい思いのするものであったと思うが、自分でそれなりに考え、試行錯誤しながらやり遂げることができたことに僕は満足である。 皆さんも機会があれば一度経験してみることをお勧めする次第である。 |
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