
【第29章】「振り込みの状態を自分で確認する」
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今まで多くの方とご一緒して振り込みや毛鉤の流し方などを教えてきたわけですが、大抵の方は一度だけほんのちょっとアドバイスするだけで案外うまく出来るようになるのですから、基本的には<テンカラは簡単だ>と云えるかと思うのです。 ところが、1年後に一緒に釣りをしてみると見る影もなくフォームが崩れてしまっていて、これじゃあ釣れないなあ...という状態だったりするから不思議です。そういう意味では<テンカラは難しい>のでしょう。 テンカラは、まずは振り込みから...であって、振り込みが崩れてしまうとどうやっても楽しいテンカラにはなり得ないし、その振り込みそのものが色々な原因で崩れやすいのだろう...と思うようになりました。 例えば、向かい風の強い日に終日振り込みを続けたらどうしたって変な癖がつきやすいでしょうし、藪のきつい沢の釣りが続いたり、足場の悪い渓での釣りなんかも影響ありますしね。そこから、いざ普通の渓に戻った時に...矯正がきかないのでしょう。 それだけではなくて、ちょっと慣れてきたときにフォームが崩れる傾向があるのもわかって来ました。例えばですが、ワタシの愛竿は3.1mで、普通に開けた渓流でしたらそれに5号のラインを4m弱+1.5号のハリス0.7m程度を結ぶのが標準の仕掛けで、これで5m程度先のポイントに振り込むのが普通に楽です。 が、この仕掛けで3m先のポイントに振り込むとなるとかなり変な振り込みになります。4m先であっても理想的な振り込みにはちょっと難しい...かな。 ですから、ワタシは普通に楽に振り込めるように、5mほど離れて立つように調整します。そして、振り込みは狙いをつけるために角度をかえようなどとせず、基本的には出来るだけ同じ動作で同じ角度で行うように心がけています(^^) ところが、最初の頃はまめに立つ位置を変えて振り込んでいた人が、慣れるに従って(立つ位置を変えずに)振り込みの角度を変えて狙いをつけて振り込む努力をする人が増えるようなんですねえ...困ったことに。 見ていると面白い。まず最初に3m位先の近距離のポイントに振り込む...ううむ、何というかひどい振り込みだ。確かに距離を飛ばさない為には竿を倒して叩きつけるような振り込みしかないんだろうけど..あんまりだ(^^;; 次に4m先くらいのポイントに振り込む....うむ、...まあ..許せる振り込みだ。最後に5m先位のポイントに振り込む...おおお、理想的な振り込みが出来るんぢゃあないか!という事が結構あるんですよ。 で、こういう釣り方で大丈夫かというと....まあ、本来の釣果の半分も出ないでしょうね。なにしろ最初にひどい振り込みをして、渓魚を追い込んでしまう訳ですから当然です。 毛鉤がとにかく飛びさえすればいいし、必要なところに落ちさえすればいい...というものではないのです。 1つには、竿を振り回しすぎるのも、水面に近づきすぎるのも渓魚に感づかれてダメ 2つには、水面上にきついダメージを与えるほどに強く毛鉤やラインを叩きつけるのもダメ 3つには、振り込んだあとの毛鉤の操作がし易いような振り込みをしないとダメ などなど つまりは、常に理想的な振り込みを心がける必要がある訳ですが、その為には理想的な振り込みのしやすい距離を保って立つ位置を変えるくらいの労力を惜しんではダメですよ(^^;;いつも同じように(同じ角度で)振り込む事が振り込み動作の上達にもつながりますしね。 それと、<理想的な振り込みが出来ているか?>を認識(自己判断)が出来るかどうかが非常に重要な事なんですねぇ。普通の渓に戻った時に矯正がきかない....のも、ひどい振り込みをしているのがわからない...のも、自分でその振り込みの判断(認識)が出来ないからなんだ...と最近になって ようやくわかりました(^^;;ははは 実は端から見ていて、何故その程度のことが自分でわからないのかが不思議だったんですよ。 今の仕掛けでは5m程度先に振り込むのが楽だと仮定しますと...。 1.狙うポイントを決める 2.5m程度離れた振り込みやすい場所に立つ(竿を動かす影も自分の影も映さず姿勢は低く) 3.ポイントに狙いをつけて振り込むという意識ではなく、常に同じように振り込めば 自然にポイントに毛鉤が届く...という意識で振り込む(振り込みの動作、角度は一定に固定) ここまではまあ当たり前ですが..更には....。 4.視線は当然毛鉤が落ちるべきポイントを見ながらも、クッキリとまでは見えないにしても <ライン>の動きを見る→<ハリス>の動きを見る...<ループがとけて毛鉤が着水する> のを目で追えるようになりたいものです 慣れると、毛鉤+ハリス10p程度が同時に着水した...とか、毛鉤+ハリス20pが同時に着水したな...ちょっと角度がきつかったなあ...とかがわかります。毛鉤から綺麗に着水させることが出来たのが自分でわかるというのは気持ちいいですよ(^^) この、4.を実行する事で自分の振り込みがうまくいっているかどうかを判断できる訳ですが、口で云うのは簡単だが、1〜3はいいとしても、4は難しい..といわれるかもしれません。視線は当然毛鉤が落ちるべきポイントを見ながらも(周辺視で)...と書きましたが、実はある瞬間からは、ポイントを見なくても良いから、<ライン>の動きを見る→<ハリス>の動きを見る→<ループがとけて毛鉤が着水する瞬間を見る>訓練をしてみて欲しいのです。 極論すれば、ポイントを目で見つづけている必要はないんですよ。それよりは、ラインの軌跡を、ハリス+毛鉤のターンの軌跡を目でフォローする事に注力 して欲しいのです。<ライン>の動きを見る→<ハリス>の動きを見る...事が結局は毛鉤をフォローする訳ですし...結果的に毛鉤はポイント上に着水する訳ですからポイントを注視し続ける必要性は無いわけですから。 とにかく、最初は軌跡を目で意識的に追いかける訓練をしてみて下さい。慣れて来るに従って、そんなに意識しなくてもなんとなく自然にポイントも、軌跡もどちらも同時に見ることが出来ている自分に気がつくでしょう。 ううむ、表現が下手だな..ええと...4.の説明をもう一度。 振り込む時には、視線は当然ポイント(の周辺)を見ている訳ですが、その見ているポイントに向かってラインが延びていく訳ですから...自然に視界にラインが入ってきます。その瞬間から(実際に視線を動かす訳ではなく)ラインの軌跡を追うのをメインとし、ポイントを見るのはサブとするように意識を切り替えるのです。 余裕がないなら、メインの軌跡だけを見るのに切り替えてもいい...とさえ思うのです。ラインの軌跡を、ハリス+毛鉤のターンの軌跡を目でフォローするという事はそれだけ大切な事なのです。軌跡をとらえて、欠点があれば次の振り込みにフィードバックする...のを繰り返すことで崩れを矯正していけますので、格段にレベルアップできるはずです。 やがては、ループがとけて毛鉤がポツリと着水する瞬間すらハッキリと捉えることが出来るようになります。これは視力の問題ではないのです。捉えようと意識して振り込みをしていれば、捉えられるような振り込みが出来るようになってくるとも云えますし、それが出来た時には無理のない理想的な振り込みになっている...という事なのだと思います。 軌跡を見ることで、自分の今の振り込みが良かったのか悪かったのか...自分で判断がつきます。ワタシはいつも一回ごとに振り込みを確認→矯正しているようなもので、ですから崩れが連続する事はまずないですね。慣れてしまえば、一振り毎に軌跡を確認する必要はないですが、それでも時折は意図的に意識のスイッチを切り替えて軌跡を確認する事は重要ですし必要なことだと思います。 余計なことかもしれませんが...。 たとえ、ポイントを外したところに毛鉤が落ちたとしても、<ハリス+毛鉤>を視線がフォローしている訳ですから毛鉤を見失っている訳ではないのですから何も慌てる必要はないのです。無理にピックアップしてしまう必要はなく、そのまま流し切ってからもう一度振り込めばいいだけです。 更に蛇足でしょうが...毛鉤が着水したら...あとは毛鉤の動きだけを目で追えばいい訳ですが、理想的な振り込みが出来たあとの毛鉤操作はかなり楽なものになりますよ(^^) 尚、ラインもハリスも透明ですが、光の加減あるいはラインの反射などで軌跡は十分に目でフォローできます..というか、フォローしきれないほどのスピードではラインもハリスも飛んで(延びて)はくれないはずなのです。 目で追えない程のスピードで飛んで行って水面に突き刺さるぞ!...というあなた...間違いなく変な振り込みしてますぞ(^^;; 軌跡をどうしても目で追いきれない...という方。 ハックルの径が大きい白い毛鉤ででも試してみればいいでしょう。ハックルの径を大きくするだけで空気抵抗が増して、ガクンとライン+ハリスの延びていくスピードが落ちますので...(^^;;ははは 但し、へなへなと力無くラインがたるんだ状態になるようではやりすぎで、それも理想とはかけ離れて別の問題を引き起こしますのでご用心を。 ライン+ハリスがたるむことなく、するするっと綺麗に延びていって...延びきる瞬間に(ループがとけて)毛鉤がポツンと着水して、ハリスの先の方から水面に着水した直後にはすでに竿先を自分でコントロールしている..こんな楽しい釣りが出来るといいですね(^^) (注)テンカラ講座23章の実技編補足(理想的な振り込み)も参考にして下さい。 ※今回、久しぶりにテンカラ講座を書きました。もう書くことは無いだろうと思っていた のですが...。 久しぶりに書きましたので...自分でいうのもなんですが、力作になっている... と思います(^^;; 参考になれば幸いです... (H16年12月) |
