テンカラ講座番外編

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大鳥川

大鳥川は滝太郎で有名な渓流ですのでご存知の方も多いと思います。
本格的には泡滝ダムから上流の釣りなのですが、繁岡発電所付近から左京淵までの下流部はすぐ脇に林道も走っていてそこそこに流れも綺麗で渓相もまずまずという、もっとも手軽に楽しめる渓だったのです。

ここは例年10回以上は通う大好きな渓なのに、実は、昨年はたった一度しか行きませんでした。

大鳥川には例年水量が落ち着く6月下旬から行くようにしていました。
昨年一度だけ行ったのも丁度そのころだったと思います。
気心の知れた相棒の運転で天気もいいし...私はもうルンルン気分でした。繁岡発電所前を通り過ぎると急な上り坂で、そこを下るとすぐそこから綺麗な流れを横に見ながら林道を走る事になるのです..が..何と!流れが無い!
全く流れがないのです。 まさか....。こんな馬鹿な...。

一体どうしたんだ?!と思いながら林道を進むとすぐ上流で何やら工事をしている。
どうやら壊れた林道の修復工事を行っているようだ。林道の脇に迂回路が作ってある。

そう...本来なら綺麗で豊かな流れが流れているべき所に土を盛り上げてしっかりと迂回路を作って林道の修復工事を行っているのだ。

完全に流れを干して迂回路を作るとは....!!

工事は一カ所や二カ所ではない。それこそ何カ所も同じように迂回路を作って工事をしている。 工事をするために上流で完全に取水して流れを干して...。
途中に数本ある沢の流れはショベルカーで人工的に作った溝を誘導して流されては消える。

流れを完全に止められた渓流はむなしく悲しい。砂と岩がゴロゴロと続く。
いや、砂と岩がゴロゴロ続いているのならまだ許せる。
川底をブルでならして真っ平らにしてあるのを見るのは悲しい。
川底に土を盛り上げて仮設道路を作ってあるのを見るのはもっと悲しい。

最初は驚きで空白状態になっていた頭の中が次第に怒りが渦を巻き、そしてもはや取り返しがつかないという悲しい諦めの気持ちに落ちこんていく。
ここにどれだけの岩魚が生息していただろうか? それが全滅....。
この区間はもはやどうにもならぬ。

願わくば一刻も早く工事を終わらせて迂回路を取り除いて水流だけでも早く復活させてくれ!

そんな事を思いながら帰ってきて....あれから一度も行かなかった。
もう流れは復活しているのではないだろうか?と思いながらも確かめるのがなんだか怖いというか....。
あの光景を見てしまったからには、流れも魚影も復活したとしてももうあの区間では以前と同じように釣りを楽しめないのではないだろうか?

でも....。
人間がどんなにいじろうとも、自然の復元力はすばらしいものだ..とも思いたい。
ブルで川底を平らにならそうとも大鳥川の力強い流れはすぐに淵や落ち込みや浅瀬を自然に創り出してくれるはずだと信じたい。
もしかすると今年の雪代を待つまでもなく、もう既に今回の無惨な痕跡を完全に消し去ってしまって、淵や瀬の絶妙なバランスを取り戻しているかもしれない...と考えると少しは気が晴れる。

普段、私はあまり放流なんて願わないが、これだけ痛めつけられたら自然復活は到底無理だ。是非どどーんと放流してくれ。

でも、絶対に大鳥川固有の岩魚を放流して下さいね...頼みます。
幸いにも大鳥川の固有種岩魚の養殖が以前から確立されているので出来るはずです。
どこからか持ってきた変な岩魚なんぞ放流しないで下さいね...お願いです。

通常なら私はこんな風には渓流の名前は出しません。
特にそこが自分の大好きなそして大切な場所であればあるほど大切に隠し持っていたいものですし...ね...。
でも、こんな悲しい事が起きた...ということを知って欲しくなったのです。

泡滝ダム以遠の源流部はまだ健在ですが、魚影も濃いとは云えず、しかもかなり渓を読む力がないと楽しい釣りは出来ない渓なのでおすすめとは云えません。

が、もしもそこに挑んで幸いにもたくさん釣れたなら...。
下流部の悲惨な事件を思い出して、ちょっぴり節度あるキープにとどめて頂けたら..とも思うのです。

                                       

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